売上は増えたのに利益が減るのはなぜ?売上高・営業利益・純利益の違いを解説

売上高100万円から原価・人件費・税金などを差し引き、営業利益15万円・純利益10万円が残ることを示した『利益の階段』の図解 企業分析

決算ニュースを見ていると、「過去最高の売上高」「営業利益が減少」「純利益は増加」と、いろいろな言葉が出てきます。中には「売上は増えたのに、利益は減った」という、一見ふしぎな見出しも。

その謎を解くカギが、「利益」には種類があるという事実です。ここがあいまいなままだと、決算ニュースを正しく読めません。

この記事では、特に大事な売上高・営業利益・純利益の3つにしぼって、その違いを初心者向けにやさしく整理します。前回の決算書の読み方|財務三表の全体像の続きとして読むと、より理解が深まります。

この記事を読むと分かること

  • 「売上高は利益ではない」という大前提
  • 売上高・営業利益・純利益のそれぞれの意味
  • 決算ニュースの「増収減益」「減収増益」の意味
  • 初心者がまず見るべき利益はどれか

まず大前提:売上高は「利益」ではない

ここ、初心者がいちばん勘違いするところ。「売上が大きい=儲かってる」じゃないよ!

最初に、いちばん大事なことを言います。売上高は「利益」ではありません

売上高は、商品やサービスが売れた総額のこと。そこから原価や人件費などの費用を引いて、はじめて「利益」が残ります。ここを取り違えると、「売上が大きい会社=儲かっている会社」と勘違いしてしまいます。

そして会社の利益は、売上から費用を順番に引いていく「階段」のようになっています。

  • 売れた総額(売上高)から、
  • → 商品をつくる・仕入れる費用を引く
  • → 人件費や広告費などを引く(ここまでが本業)
  • → 本業以外の損得や税金を引く
  • → 最後に残ったのが、手元の利益

どこまで費用を引いたかで利益の名前が変わる——これが、利益にいくつも種類がある理由です。

売上高100万円から原価・人件費・税金などを差し引き、営業利益15万円・純利益10万円が残ることを示した『利益の階段』の図解

3つの違いを一目で(比較表)

まずは全体像を表で掴んでください。

名称ざっくり何を表す?計算のイメージ家計でたとえると
売上高商品・サービスが売れた総額(引く前の大もと)給料の「額面」
営業利益本業でどれだけ稼いだか売上 −(原価+人件費などの経費)仕事関連の出費を引いた残り
純利益最終的に残った利益営業利益 ± 本業外の損得 − 税金すべて差し引いた最終結果

売上高は“入口の大きさ”。そこから費用を引いて、はじめて利益が残る。

それぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう。

① 売上高 ― 会社の規模・勢い

売上高は、商品やサービスが売れた総額です。会社の規模や、伸びているかどうか(勢い)を見る数字です。

くり返しになりますが、「売上が大きい=儲かっている」ではありません。たくさん売れていても、それ以上に費用がかかっていれば、利益はほとんど残りません。売上高は「入口の大きさ」であって、儲けそのものではない、と覚えておきましょう。

② 営業利益 ― 本業の稼ぐ力

営業利益は、会社が本業でどれだけ稼いだかを表します。売上高から、商品の原価や、人件費・広告費といった本業にかかる費用を引いたものです。

初心者がまず重視したいのが、この営業利益です。なぜなら、その会社が本業できちんと稼げているかが、ここに表れやすいから。売上に対してどれだけ営業利益が残るかを示す「営業利益率」も、稼ぐ力を見るのによく使われます。

ただし、営業利益だけで判断できないこともあります。たとえば成長中の会社は、広告費や研究開発費を先に大きく使って、一時的に営業利益が小さく見えることがあります。数字は背景とセットで見るのが安全です。

数字は1つだけで判断しない。成長企業は先行投資で、営業利益が一時的に小さく見えることがある。

③ 純利益(当期純利益)― 最終的に残る利益

純利益は、営業利益から本業以外の損得(受取利息や、資産を売った利益など)を加減し、さらに税金を引いて、最後に残った利益です。正式には「当期純利益」と呼ばれます。

最終結果なので重要ですが、2つ注意点があります。

  • 一時的な要因で大きく振れる:土地や株などの資産を売った利益がたまたま乗ると、その期だけ純利益が大きく見えることがあります
  • 現金そのものではない:純利益は会計上の最終結果であって、そのまま手元の現金が増えているとは限りません。実際に現金が増えているかは、前回紹介したキャッシュフロー計算書(CF)もあわせて確認します

純利益が急に増えてたら、“なぜ増えたのか”を確認するクセをつけよう。

具体例:売上100万円でも、利益は100万円じゃない

言葉だけだと分かりにくいので、簡単な数字で見てみましょう。

項目金額
売上高100万円
原価60万円
人件費・広告費など25万円
営業利益15万円
本業以外の損益・税金5万円
純利益10万円

100万円売れても、原価や人件費を引くと営業利益は15万円。さらに税金などを引くと、純利益は10万円になります。

つまり、売上高100万円が、そのまま会社の利益になるわけではない。これが「売上高は利益ではない」ということです。

決算ニュースでよく見る「増収減益」「減収増益」とは?

ここまで分かると、ニュースの専門用語もスッと読めます。

増収減益とは、売上高は増えたのに、利益は減った状態です。商品はたくさん売れたのに、原材料費・人件費・広告費などが増えると、営業利益が減ることがあります。「増収(売上アップ)」でも「減益(利益ダウン)」はありえる、というわけです。

逆に減収増益とは、売上高は減ったのに、利益は増えた状態。採算の悪い事業を整理したり、コスト削減が進んだりすると、売上が減っても利益が増えることがあります。

「売上と利益は別物」と分かっていれば、この手の見出しに戸惑わなくなります。

補足:利益は全部で「5つ」ある

もう少し踏み込むと、損益計算書(P/L)の利益は、上から順に次の5つに分かれています。

  1. 売上総利益(粗利)
  2. 営業利益
  3. 経常利益
  4. 税引前当期純利益
  5. 当期純利益

ただ、初心者のうちは売上高・営業利益・純利益の3つを押さえれば十分です。5つの利益の詳しい読み方は、別の記事でじっくり解説します。

初心者はまずここを見ればOK

迷ったら、次の見方で大丈夫です。

  • 売上高と営業利益が、前の年より伸びているかをまず見る
  • できれば1年だけでなく、過去3年分を並べて見る(1年だけだと一時的な要因に左右されるため。成長しているのか、たまたま良かっただけかが見えやすくなる)
  • 純利益は一時要因で振れるので、本業の実力は営業利益で確かめる

「売上も営業利益も、3年通して伸びている」なら、本業がしっかり成長している会社だと判断しやすくなります。

まとめ

3つの違いが分かれば、決算ニュースはぐっと読みやすくなるよ。

3つの違いを、もう一度ひと言ずつ。

  • 売上高=売れた総額(規模・勢い。これは利益ではない)
  • 営業利益=本業で稼いだ利益(まず重視したい実力)
  • 純利益=最終的に残った利益(一時要因で振れやすく、現金とも別物)

この違いが分かると、「増収減益」「減収増益」といった決算ニュースの言葉も、すんなり読めるようになります。次は、この5つの利益をもう一歩詳しく見ていきましょう。

次に読む順番

  1. 決算書の全体像を知る → 財務三表(P/L・B/S・CF)の全体像
  2. 利益の種類を理解する → この記事
  3. P/Lの中身を読む → 損益計算書(P/L)の5つの利益
  4. 会社の安全性を見る → 貸借対照表(B/S)と自己資本比率
  5. 現金の流れを見る → キャッシュフロー計算書(CF)の読み方

※本記事は決算書・財務諸表に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

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